臨床工学部

診療・各部門

運営理念:「いのちを支えるエンジニア」としてすべての人の健康と笑顔を追求します

JCHO神戸
(公益社団法人 日本臨床工学技士会 理念)

1.臨床工学技士とは

臨床工学技士とは、国家資格を有した医療機器の専門家です。
臨床工学技士の業務は、生命維持管理装置の操作および保守点検になります。具体例としては、人工呼吸器、人工心肺装置、血液浄化装置、体外式ペースメーカー、補助循環装置などがあります。生命維持管理装置は、手術室、集中治療室、人工透析室などで主に使用されています。また、その他の医療機器も院内で数多く使用されており、臨床工学技士は院内全体に渡って業務を行っています。

2.臨床工学部 人員構成

現在、臨床工学技士9名(男性7名 女性2名)が在籍しています。
臨床工学技士の関わる業務各分野において関連団体に認められている資格を積極的に取得し、専門性を持って業務にあたっています。

当院臨床工学技士の保有資格
 ・透析技術認定士 …3名
 ・認定血液浄化関連臨床工学技士 …1名
 ・3学会合同呼吸療法認定士 …5名
 ・臨床ME専門認定士 …1名
 ・ICLSインストラクター …1名
 ・MDIC(医療機器情報コミュニケータ) …1名
 ・心血管インターベンション技師(ITE) …2名
 ・CDR(Cardiac Device Representatives) …1名
 ・手術関連専門臨床工学技士…1名 

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(2022年9月現在)

3.勤務体制

主な人員配置場所は、ME機器管理室、人工透析室、心臓カテーテル検査室です。
日々の業務は、業務ローテーション体制で対応しています。また患者さんに24時間365日安全な治療が実施出来るよう、全ての業務に対してオンコール体制を整えています。

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4.院内教育・啓蒙活動関連

医療従事者が適切に医療機器を使用できるように教育訓練することは、「患者安全」を行う上で欠かせないものです。臨床工学部では実際に医療機器を使用する看護師、医師に対しての機器取り扱い研修会や、トラブル対応訓練を定期的に実施し医療従事者のスキル、安全意識の向上を図っています。
また、自部署での職員教育では、スキルチェックシートやプリセプター制度を導入、新人職員でも安全に業務を行っていける体制作りに取り組んでいます。

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血液浄化療法業務

1.

当院の人工透析室には36床の透析装置が装備されており、血液透析や血液透析濾過をはじめ、レオカーナ(カネカ社製)を用いた閉塞性動脈硬化症の治療、アダカラム(JIMRO社製)による血球細胞除去も行っています。また、集中治療室(ICU)の重症患者様に対し、持続的血液濾過透析(CHDF)、血漿交換(PE)、二重膜濾過血漿交換(DFPP)等の緊急血液浄化療法に24時間対応しております。

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2.腹水濾過濃縮再静注法(CART)

腹水濾過濃縮再静注法(CART)とは、難治性腹水症など様々な要因で貯まった患者様の腹水(または胸水)を採取し、それを濾過・濃縮して、患者様ご自身のアルブミン等の有用なタンパク成分を体内へ返す治療法です。この治療により苦痛の軽減、腹圧の軽減、血漿浸透圧の上昇などが期待できます。CART施行時において、濾過器・濃縮器・回路等のセットアップ、施行装置の操作は我々臨床工学技士の業務として行っています。

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3.透析液清浄化

透析患者さんの血液と接する透析液は、血液内の毒素の除去、電解質や酸、塩基バランスを適切に調節する役割があります。その透析液内に有害な物質が入らないように、臨床工学技士が管理を行っています。

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4.透析装置の操作・メンテナンス

透析装置は、日機装社製のDCS-100NX、DBB-100NX、DCS-200Siの3機種を患者様に応じて使い分けています。また、これらの機器の操作に加えて、定期的なメンテナンスや消耗品の交換なども我々臨床工学技士の業務として行っています。

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呼吸療法業務

1.ラウンド業務

人工呼吸器とは自分で呼吸ができない患者様に使用し、人工的に呼吸させる生命維持管理装置(肺の代行)です。人工呼吸器は命に直結する医療機器のため、臨床工学部では病棟で使用中の人工呼吸器のラウンドを実施しています。

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2.人工呼吸器点検業務

使用後の人工呼吸器は毎回臨床工学技士が点検し、安全に使用できるように整備しています。また、人工呼吸器の定期点検、レンタル機器の台数調整等も臨床工学技士主体で行っています。

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3.RSTチーム(Respiratory Support Team)

毎週対象患者を中心にRSTラウンドを行っています。他職種と意見を交わしながら、人工呼吸器の早期離脱または快適な呼吸管理をめざし業務に当たっています。また人工呼吸器以外の呼吸デバイスなどの適正使用や、患者管理方法の啓蒙啓発も行っています。

4.院内院外勉強会

他職種に対して人工呼吸器についての勉強会を定期的に開催しています。また臨床工学部では、2019年から地域医療の推進、活性化を目的とした取り組みの一環として、在宅人工呼吸に携わっている地域の医療従事者を対象にした講習会を開催しています。

循環器業務

1.心臓カテーテル検査・治療業務

急性心筋梗塞などの患者を対象とした検査、治療に365日24時間体制で対応しています。臨床工学技士は検査、治療中の心電図、血圧などの呼吸や循環に関する状態の監視、血管内超音波装置(IVUS)・光干渉断層法(OCT)を用いて血管内部の断面図を表示し治療のサポートを行います。患者さんの状態が重篤な場合には、人工呼吸器、大動脈内バルーンパンピング、経皮的心肺補助法、一時的ペースメーカーなどの装置を用いて患者さんの生命維持をサポートします。

2.イメージング機器

心臓カテーテルの治療では、血管内の組織形状を断面図として画像化するイメージング機器が使用されます。臨床工学技士は検査・治療時に、医師の指示の元で血管内超音波装置(IVUS)・光干渉断層法(OCT)といったイメージング機器のセットアップ・操作、またこれらのデータ管理等を行っています。

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3.ロータブレータ

硬い動脈硬化病変では、石灰化が強くなり、バルーン拡張では治療不十分であり、先端に20~30ミクロンのダイアモンド粒子が埋め込まれたドリルで血管壁を開通させる治療です。ローターブレ-タ施設基準改定により、当院では、2020年7月より開始しています。

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4.一時的ペーシング

体外から電気刺激により心臓を拍動させる為に、医師の指示のもと、刺激、感度、心拍数等を適切に設定しています。

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5.大動脈内バルーンパンピング:IABP(GETINGE社) 経皮的心肺補助装置:PCPS(泉工医科工業社)

心筋梗塞や致死的不整脈が生じた場合、心臓のポンプ機能が低下します。
そうすると各臓器に必要な量の血液が送ることができず、循環を補助する生命維持装置を導入する必要が出てきます。IABP、PCPSが必要になった際は臨床工学技士が迅速に準備を行い、いち早く導入できるように医師をサポートします。当院には、PCPS、IABP共に1台ずつ常備しており、臨床工学技士は1日1回の日常点検や集中治療室での循環管理に携わっています。

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6.低体温療法

体内の臓器の中で、一番酸素消費量が多いのが脳です。その消費量は全体のおよそ25%にも及びます。一度酸欠が生じれば、直ちに脳の機能も止まり、致命的なダメージを負ってしまう非常にデリケートな臓器になります。低体温療法は心肺停止から蘇生が成功した患者さんに対し、脳の保護をする為に行われます。これは心臓が止まっている間、脳に血流が行かず、酸素不足に陥っているからです。
当院では低体温療法専用装置Arctic Sun(IMI社)を使用し、体表面に水冷式のブランケットを胸から大腿部にかけて貼り付け、深部体温を34~36℃程度に下げます。約24時間程度その低体温を保持した後,ゆっくりと復温します。そうすることで脳の代謝を抑えて酸素需要を減らすことができます。臨床工学技士は医師の指示のもと、低体温療法の迅速な導入及び集中治療室での循環管理を行なっています。

7.心臓ペースメーカー業務

ペースメーカーは一般に徐脈と呼ばれる房室ブロックや洞不全症候群の治療として用いられます。近年は患者さんのバイタル指標を捉えて、より正確なバックアップができるペースメーカーが次々開発されており、患者さんの症状に適した性能の機種を担当医、業者などを交えて選択する必要があります。
新規植込み時やジェネレータ交換時において臨床工学技士はPSA操作、プログラマ操作を行います。プログラマでは、閾値の測定や刺激テスト等の機械的なチェックを行います。またペースメーカー植込みをされた患者さんに対して、年2回循環器外来に来て頂き、異常が無いかの確認も行っています。その他MRI撮像時や手術等により臨時の設定変更が必要となった場合にも対応しています。

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8.ペースメーカー遠隔モニタリング管理業務

「遠隔モニタリング」とはご自宅などの医療施設から離れた場所から、専用の送信機を使ってペースメーカーや植え込み型心電計(ICM)の情報を医療機関に送ることができるシステムです。システムの導入のための患者説明や、専用Webサイトでの毎月の情報の確認、医師への報告等を行っています。

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9.心臓カテーテルアブレーション業務

カテーテルアブレーションは不整脈の原因となる異常な電気興奮部位を焼灼する治療です。臨床工学技士は心内電位記録装置や高周波発生装置、3Dマッピング装置の操作を行っています。また2020年よりクライオバルーンアブレーションを導入しています。

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ME機器管理業務

院内には様々な医療機器が存在しています。医療機器を安全に使用できるように中央管理を採用し、保守管理業務を行っております。病棟より返却された機器は点検を行い、点検終了後に貸し出し可能としています。使用する機器は一患者一限定とし、患者間の又貸しを防止しています。また、病棟での機器のトラブル対応や、看護師を対象とした操作法の確認やトラブルシューティングといった内容の勉強会を開催し、事故を未然に防ぐ環境づくりを心掛けています。

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手術室業務

手術室ではナビゲーションシステムのセッティングや麻酔器の保守点検を行っています。また、手術中に起こる機器トラブルにも対応しています。

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セカンドオピニオン予防接種外来専門外来各部門・関連施設看護部訪問看護ステーション
薬剤部健康管理センター健康管理センター(ハーバーランド)看護学校介護老人保健施設