呼吸器内科 診療内容

診療・各部門

肺がん

近年日本人の2人に1人はがんに罹患すると言われており、がんの中でも死亡者数が多い肺がんですが、当院では気管支鏡検査や放射線科と連携してCTガイド下肺生検などを行うことにより、できる限り速やかに診断し治療方針が決められるように努めています。
肺がんの薬物療法は従来からある抗がん剤(殺細胞性薬)に加えて、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬と近年では使用できる薬剤が増えています。患者さんの全身状態やがんの種類(組織型、遺伝子変異の有無など)からガイドラインに基づいた治療を行っています。状態の良い患者さんについては2コース目以降、外来化学療法室での通院治療も行っています。
手術症例につきましては当院に呼吸器外科がないため他院を紹介させて頂いています。また当院には放射線治療設備がありませんが、神戸低侵襲がん医療センターと連携して放射線治療を含む集学的治療のほか、痛みなどの症状を緩和する照射にも対応しています。
がんやその治療による症状に対しては、必要に応じて緩和ケアチーム(スタッフ)とも連携しながら積極的に症状緩和を図るようにしています。

気管支喘息

気管支喘息は空気の通り道(気道)に炎症が続くことによって、さまざまな刺激に対して気道が敏感になり発作的に繰り返し気道が狭くなる病気です。若い人に多いイメージですが、成人後に初めて発症する方もおられます。
呼吸機能検査や呼気一酸化窒素検査などにより状態を確認し、ガイドラインに基づき吸入ステロイド薬をはじめとした吸入療法を中心に行っています。症状のコントロールが難しい患者さんについては、生物学的製剤(抗IgE抗体、抗IL-5抗体、抗IL-4/13抗体など)の注射も行っています。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

COPDは特に長期の喫煙と関係が深いと言われており、肺の生活習慣病とも言われています。喫煙歴を有しせき、たん、息切れがある患者さんについて、当科ではCOPDの可能性を考えて画像検査や呼吸機能検査などを行い診断します。
治療はガイドラインに基づき気管支拡張薬の吸入を中心に行っています。必要に応じて在宅酸素療法の導入や短期間の呼吸リハビリ入院なども行っています。また希望される患者さんには禁煙外来を紹介させて頂いています。

肺炎などの呼吸器感染症

細菌、ウイルス、カビ(真菌)といった病原微生物により肺に炎症を起こす病気です。身体所見、血液・画像検査、培養検査(喀痰、血液)などにより病原微生物を推定(診断)し、適切な治療(主として抗菌薬)を行います。胸の中に膿がたまっている場合(膿胸)には通常よりも長い期間の抗菌薬投与や持続ドレナージ(胸の中に管を入れること)も行います。
肺結核は結核菌により人から人に感染します。決して過去の病気ではなく、現在も神戸市で年間200人以上(2020年)が新たに発病しています。診断が遅れると感染者が増えるため、せきやたんが長引く場合には積極的に画像検査や喀痰(塗抹・培養・拡散増幅法)検査を行うようにしています。当院には結核専用の病棟がなく排菌している結核患者さんの治療は行っていませんが、排菌がなく通院治療が可能な場合には当院でも治療を行うことがあります。治療期間は通常であれば6ヶ月間で、適切に治療を行えばほとんどの場合が治ります。
非結核性抗酸菌症は、結核菌以外の抗酸菌が肺に感染して起こる病気です。菌そのものは土や水まわりなどの自然環境に存在する菌で、結核と異なり人から人へと感染することはありません。結核と比べてゆっくり進行することが多く、その分長期間にわたり付き合っていくことになるため、定期的な経過観察が重要で治療も1年から1年半以上と長期にわたります。

間質性肺炎

間質性肺炎は肺を構成する肺胞壁に炎症は起こることにより、肺が硬くなる病気です。原因は様々あり、原因が不明のもの(特発性)もあります。経過も進行が早いものから長期にわたるものまで様々です。画像検査、血液検査、呼吸機能検査などを行い、必要に応じて気管支鏡検査や他院での外科的肺生検などによる確定診断を行います。経過や診断に応じて抗線維化薬、ステロイドや免疫抑制剤などによる治療を行います。


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