臨床検査科診療部

診療・各部門

臨床検査科診療部では「迅速かつ正確で良質な検査の提供」を理念に掲げ、理念に沿った検査の提供に全スタッフが一丸となり尽力しております。

概要

 臨床検査科診療部では、採血、生化学・免疫血清、血液・凝固、一般、微生物、生理、輸血(輸血部)、病理・細胞診(病理部)それぞれの専門分野に分かれて診療業務を支援しています。また、健診事業においても健康管理センター(本院)4名・付属健康管理センター(ハーバーランド)4名・健診車2名 計10名の臨床検査技師が検査を担当し支援しています。
 外来検体・病棟検体だけでなく健診部門の検体測定も臨床検査科診療部で実施し、検査結果の提供を行っています。
 理念に掲げている迅速な検査結果の提供は、外来待ち時間の短縮に貢献できます。早出出勤を実施し、外来診療開始時間前に外来採血を開始する検査体制を整えています。
 また、超音波検査は待ち時間の軽減のため予約制にしておりますが、緊急性の高い患者様や地域の先生方よりご紹介いただいた患者様には来院当日に検査を受けていただくことで、少しでも皆様のお役に立てるよう努力しています。
 加えて、正確で良質な検査結果の提供のために、日本医師会や日本臨床衛生検査技師会などが主催する外部精度管理調査に毎年参加し、全ての分野において高い評価を得ています。さらに、20246月には、かねてより取得しておりました品質保証施設認証制度更新審査において基準を満たしていることを日本臨床検査技師会および日本臨床検査標準協議会から認められ、品質保証施設の認証を更新することができました。
 私たちは、検査データを通じ地域の皆様が安心して病院診療ならびに健康診断を受けていただけるよう、24時間体制で臨床検査の提供を実施しております。患者サービス向上と更なる地域連携を深めることにも尽力して参りたいと考えております。

臨床検査科診療部組織図

臨床検査技師長 岡﨑 友美
※臨床検査技師 41名(任期付き職員2名、パート職員6名含む)・補助員1名で担当

検査部組織図

採血室

 採血室では、外来患者様の血液検査や尿検査の受付を行い、検査のための採血を行っています。また、喀痰検査や便検査の受付も行っています。採血室は、当院2階の検体検査室に隣接しており、臨床検査技師が1日平均150名前後(R6年度)の患者様の採血を担当しています。患者様の受付が集中する時間帯には一時的に待合が混み合い、受付後に採血待ち時間が発生する場合もございますが、できる限り安全かつスムーズに採血が実施できるように努めております。是非とも皆様の温かいご理解とご協力をお願いいたします。
 また、当採血室では事故防止の観点から患者様のご本人確認のため、お名前をフルネームでいただいております。こちらもご協力のほど宜しくお願いいたします。
 その他、患者様に向け検査結果の見方を記載したリーフレットを数種作成し、ご用意いたしております。ご入り用の際は、お気軽に採血室スタッフまでお声がけください。

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生化学・免疫検査

 生化学検査とは、血液・尿・穿刺液中の様々な成分を化学的に分析する検査のことを指します。病気の診断や治療・病状の経過観察 また、健康診断において病気の発見・予防に役立つ検査です。
 免疫検査とは、感染症検査・アレルギー検査・腫瘍マーカー検査などのことを指します。主に体内の免疫反応を調べる検査です。
 2024年4月には、生化学免疫自動分析装置を最新機器へ更新いたしました。新規に導入いたしました装置が1時間に測定できる検査は、最大2,000テストの処理能力を有しており、迅速な検査結果の提供に日々努めています。

  当院では、下記にお示ししている約80項目の検査を実施しております。

肝疾患関連 総蛋白、アルブミン、総ビリルビン、間接ビリルビン、直接ビリルビン、コリンエステラーゼ、ASTALTLDALP、γGT
腎疾患関連 尿素窒素、クレアチニン、尿酸、β2ミクログロブリン、尿中ミクロアルブミン
膵疾患関連 アミラーゼ、膵アミラーゼ
心疾患関連 CK、CK-MBNT-proBNP、トロポニンT
脂質代謝 中性脂肪、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール
糖代謝 血糖、HbA1c、グリコアルブミン、ケトン体
鉄代謝 血清鉄、UIBC、TIBC、フェリチン
電解質 ナトリウム、カリウム、クロール、カルシウム、無機リン
血中薬物濃度 ジゴキシン、カルバマゼピン、バルプロ酸、バンコマイシン
ホルモン FreeT3、FreeT4、TSH、インスリン、Cペプチド
腫瘍関連 AFP、CEA、CA19-9、CA125、PSA、PIVKA
感染症関連 HBs抗原、HBs抗体、HCV抗体、HIV抗原、HIV抗体、梅毒(TPLA,RPR)、プロカルシトニン
その他 CRP、血中アンモニア、IgGIgAIgMIgEC3C4、ハプトグロビン、RFASO、ペプシノゲン、尿中蛋白

以下の項目数(年間)の検査を行っています。【令和6年度】

外来 602,676 項目
入院 288,135 項目
健診 617,777 項目
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血液検査

 主に、血算(CBC)、白血球分類、骨髄検査、凝固線溶検査を行っています。
 CBCとは、血液中の赤血球・白血球・血小板の数を測定する検査のことを指します。赤血球は、内部にヘモグロビンを有しており全身の組織へ酸素を運搬します。赤血球数・ヘモグロビン濃度・ヘマトクリットを同時に測定することで貧血の有無・貧血の種類を診断します。白血球は、生体防御の役目を担っています。白血球数・白血球分類を実施することで感染症・炎症の有無や、白血病などの血液疾患の診断・治療効果判定などを行うことができます。血小板は、止血の役目を担っています。血小板の数や機能を調べることで出血傾向がわかります。
 骨髄検査とは、貧血・白血病・リンパ腫などの原因を検索する目的で、血液細胞が作られている場所である骨髄から直接血液を採取し、造血状態を調べるための検査のことを指します。
 凝固線溶検査とは、出血があったときに止血する機能がきちんと働くかを調べる検査のことを指します。出血傾向、抗凝固療法の指標になる検査値を測定しています。手術予定などがある方にも、事前に検査が実施されます。

以下の件数(年間)の検査を行っています。(R6年度)

血算(CBC 凝固線溶検査 骨髄検査
外来 31,714件 7,316件 68件
入院 18,101件 7,210件 64件
健診 46,740件
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一般検査

 一般検査とは、主に尿・便・体腔液の検査をすることにより病気の診断や治療方針の決定に役立つ基本的な検査のことを指します。患者様への負担が少なく、健康診断や病気のスクリーニング検査にもよく用いられます。
 主な検査は、尿中の化学成分の分析(定性検査)と細胞成分などを調べる検査(沈渣検査)です。腎・尿路系の疾患の診断や治療だけでなく全身疾患のスクリーニング検査としても有用な検査です。その他、便中に血が混ざっていないかを調べる便潜血検査、脳脊髄液や関節液の検査など様々な検査を実施しています。
 2024年8月には、尿沈渣自動分析装置の新規導入と尿定性自動分析装置・便潜血測定装置を最新機器へ更新いたしました。
 尿検査において全て顕微鏡検査(目視)で実施していた尿沈渣項目は、自動分析装置を導入することにより、より迅速な結果報告が出来るようになりました。

以下の件数(年間)の検査を行っています。(R6年度)

検尿 検便 脳脊髄液

その他

体腔液

赤沈
外来 13,647件 288件 8件 24件 3,187件
入院 1,840件 96件 58件 46件 337件
健診 50,090件 33,829件

細菌検査

感染症の確定診断を目的とした様々な微生物に対する検査を実施しています。

 感染症が疑われる喀痰や尿など様々な検体について標本を作製し、顕微鏡検査を実施して病原細菌の検索を行っています。

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 また、検体の種類や症状などから病原細菌を推測し、それぞれに応じた培地を使用して病原菌の培養を実施しています。培養した病原菌を判別(同定検査)し、病原菌に有効な薬を調べる薬剤感受性検査も実施しています。

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その他、コロナウイルスPCR検査やインフルエンザウイルス・ノロウイルスなど多くのウイルス抗原検査を510分程度の短時間で迅速に検査しています。

以下の件数(年間)の検査を行っています。(R6年度)

顕微鏡検査 2,388件
培養検査 5,742件
ウイルスなどの抗原検査 5,174件
コロナウイルスPCR検査 16件

生理機能検査

 直接患者様に接し、医療機器を用いて身体の構造や機能を調べる検査のことを指します。ほとんどが痛みのない(非侵襲的)検査です。

  • 心電図検査(安静時・3分間・24時間・1週間・負荷・エルゴメーター)
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  • 肺機能検査(一般・特殊)
  • 神経生理検査(脳波、神経伝導検査、体性感覚誘発電位検査、口輪筋導出検査、睡眠時無呼吸検査)
  • 超音波検査(心臓、腹部、頚動脈、下肢静脈、乳腺、甲状腺、関節、四肢動脈、体表)
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  • その他 ABPI(手と足の血圧比から動脈硬化を知る指標)尿素呼気試験(胃内ピロリ菌の有無を知る検査)

以下の件数(年間)の検査を行っています。(R6年度)

心電図検査 9,181件
肺機能検査 296件
神経生理検査 221件
超音波検査 9,422件
睡眠時無呼吸検査 49件
聴力、平衡機能検査 2,010件
血圧脈波 1,622件
長時間心電図 416件
尿素呼気試験 117件

健診

 当院は健診業務にも力を入れており、毎年約5万人の健診を本院・ハーバーランド・健診車で実施しています。いろいろなオプション検査を備える中、臨床検査技師が担当している項目と件数(年間)は以下の通りです。

以下の件数(年間)の検査を行っています。(R6年度)

腹部エコー 11,092件
頚動脈エコー 669件
乳腺エコー 1,966件
心臓エコー 15件
心電図 44,389件
呼吸機能 8,077件
骨密度 1,599件
視力 10,470件
聴力 46,362件
血圧脈波 233件
生化学検査 617,777件
血液検査 46,740件
尿検査 50,090件
便潜血検査 33,792件